キャンセルポリシーとは、予約キャンセルに関する注意事項のことで、お店側とお客側でキャンセルに対する共通認識を持つことができます。予約時に提示し、同意してもらうことで、キャンセルに関するトラブルが発生した時、請求の根拠や証拠として活躍してくれます。
キャンセルポリシーはキャンセル料を請求するだけではなく、身勝手なキャンセルを防止する一定の効果があります。
内容は業種や売上によって変えていく必要があるため、別のお店の内容をコピーしただけでは、いざという時に使い物になりません。
売上やスタッフのモチベーションを守るためにも、自分のお店にピッタリなキャンセルポリシーの作成が必要です。
この記事では、キャンセルポリシーの必要性や記載事項などについて紹介していきます。
ここでは、キャンセルポリシーの必要性について紹介します。
予約は法的な効力のない約束ではなく、破った場合に相応の賠償を行わなければならない「契約」です。
そのため、無断キャンセルやドタキャン(当日キャンセル)が起こった場合、債務不履行として賠償を請求できます。
キャンセルポリシーがなくても無断キャンセルやドタキャンに対してキャンセル料を請求できますが、請求金額について一々売上の平均などから計算しなければなりません。
キャンセルポリシーを作成しておけば、いくら請求するか事前に同意が取れているため、スムーズな請求ができます。
予約したもののキャンセルしたくなった際、どこに連絡すればいいのかわからないと予約者側としては不便です。また、お店側も普段使わないようなところから連絡がくると、対応できなかったり見逃してしまうリスクがあるでしょう。
キャンセルポリシーを作成することでキャンセル方法を明確にし、スムーズなキャンセルを実現できます。
キャンセルポリシーでは、無断キャンセルなどがあった後の店舗利用について制限を設けることができます。
例えば、歯科のキャンセルポリシーであれば「予約されても応急処置しかできない」「無断キャンセル2〜4週間は予約できない」といった制限です。
このような制限を設けておくことで、予約者の来店意欲を高めることができます。また、このように一度無断キャンセルした予約者に制限を課しておけば、繰り返し無断キャンセルの被害を受けることなく、売上と社員を守れます。
キャンセルポリシーに記載する項目は法律などで決められていないため、お店側が絶対に入れたい項目さえ記載できていれば、シンプルな内容でも問題ありません。
シンプルな内容にしておけば、予約者に読まれやすいメリットがあります。しかし、細かい規定がないとトラブルが発生した際に、毅然とした対応ができず、損する可能性もあるでしょう。
ここでは、損をしないために盛り込むべき6つの項目について紹介します。
まずはキャンセル可能な期間を記載します。この際ポイントになるのは、「予約当日の●日前の●時まで」と時間まで細かく明記しておくことです。
時間の記載がないと、キャンセル可能時間に連絡したのに、連絡が通じなくキャンセル料が発生する期間になってしまったとクレームが入る可能性があります。
また、ここではキャンセル方法についても記載しておきましょう。1つだけではなく、いくつか方法を提示しておくことで、「電話したけどつながらなかった。わざと対応しないようにしている」などのクレームを回避できます。
キャンセル料がいつから発生するかはお店が決められます。
当日予約や当日の集客が望めるような飲食店やサロンでは、前日の23:59までキャンセル可能にしているケースも珍しくありません。
キャンセル料が発生する期間を延ばすことで、より多くのキャンセルに対し請求ができます。しかし、数日前のキャンセルでもキャンセル料が発生すると、予約へのハードルが上がり、予約者の減少につながる可能性があるので、注意が必要です。
キャンセルポリシーには、遅刻した場合の取り扱いについても記載しておきましょう。遅刻されることで、その後の予約に支障が出る場合は「予約時間より●分遅刻した場合は、キャンセル処理にします」といった一文が効果的です。その際にキャンセル料が発生するのかも記載しておきましょう。
キャンセル料は、業種によって費用の決め方が違ってきますので、業種ごとの細かい決め方については「業種別でみるキャンセル料の決め方」を参考にしてください。
ほとんどの業種のキャンセル料は、消費者契約法の第9条1項によって上限が定められています。
第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
(引用:消費者契約法の第9条1項)
この法律により、請求できるのはキャンセルによって生じた平均的な損害額までとなっています。極端な説明ですが、平均的な損害額が1万円のお店で1万5,000円をキャンセル料として請求すると、5,000円部分は無効になるということです。
よく予約内容の●%という記載を目にしますが、自社のサービスに当てはめたとき、その割合が妥当か一度確認しておくことをおすすめします。
平均的な損害額までしか請求できないと言いましたが、状況によってはこの上限を超えた賠償金が発生するケースもあるでしょう。
そのようなリスクがある契約では、別途、損害賠償を請求する旨をキャンセルポリシーではなく利用規約や契約約款などに記載します。そして、予約を受ける前に必ず提示して同意をもらうようにしましょう。
キャンセル料の請求方法や支払い方法も明記しておくことをおすすめします。
これにより、キャンセル料を請求するお店だということをアピールできますし、実際に請求した際「こんな請求聞いていない」といったクレームに対応することが可能です。
キャンセル料の回収や請求を外部ツールや弁護士に一任している場合、その旨を記載しておきましょう。無段キャンセルした場合、大事になる可能性があるとアピールできれば、故意に無断キャンセルを行う人からの予約を避けることができます。
一度無断キャンセルをすると、二度、三度と繰り返す人もいます。繰り返し無断キャンセルの被害にあわないためにも、予約回数や当日予約しかできないなど制限を設けておきましょう。
予約日に家族が不幸にあった人や急病になってしまった人、大雨などで行けそうにないなど、キャンセルせざるを得ない場合もあります。
そのようなケースに対してキャンセル料を請求しないのであれば、免責事項として記載しておきましょう。
ここでは、業種別でキャンセル料の決め方を紹介します。
飲食店や美容室などではコースを予約していたときと、席だけ予約していた時で考え方が変わります。
コースで予約している場合、転用できるものは差し引くことになります。しかし、コース料金が損害の平均額になることが多いため、コースに対して100%の料金を請求できる可能性が高いでしょう。
席だけの予約の場合、コースのように平均となる金額がないので、平均の客単価から固定費や人件費などを差し引いた金額がキャンセル料になります。
キャンセルポリシーに記載する際は、席のみ予約でキャンセルした場合○○円とまとめるのではなく、1人○○円と個別で記載しておくようにしましょう。
宿泊施設や式場など、スペースを貸し出すようなサービスでは、キャンセルの連絡が早ければ、お店側は新規の予約者を募り損害を出さずに済みます。
そのため、キャンセル料は予約したコース(平均的な損害の額)とキャンセルしたのが予約日の何日前なのかで金額を決めていきます。
商品販売の予約ではキャンセルされても他者に販売でき、損害が発生しないため基本的にキャンセル料は設けません。
設けたとしても消費者契約法第9条により無効と判断されてしまうため、キャンセル料は記載せずキャンセル方法を記載するに留めます。
一方でオーダーメイド商品では他者に販売できないため、平均的な損害を上限にキャンセル料を設定しましょう。
これまで紹介してきたサービスは消費者契約法に則り、キャンセル料を考えてきました。しかし、以下のようなサービスは消費者契約法ではなく、特定商取引法により具体的なキャンセル料の上限が定められています。
1ヶ月以上継続し、サービスへの支払い総額が5万円を超える |
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サービス内容 |
キャンセル料 |
エステサロン・美容医療 |
2万円 |
2ヶ月以上継続し、サービスへの支払い総額が5万円を超える |
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サービス内容 |
キャンセル料 |
結婚相手紹介サービス |
3万円 |
家庭教師 |
2万円 |
語学教室・学習塾・パソコン教室 |
1万5,000円 |
(参考:特定商取引法ガイド)
では実際にキャンセルポリシーを書いてみましょう。ここでは職種別にいくつかテンプレートを用意しましたので、参考にしてみてください。
■キャンセルポリシー■ この度は○○へのご予約ありがとうございます。 ■予約の取り消し・変更について TEL:000-0000-0000 ■キャンセル料金 前日のキャンセル:無料 席のみ予約での当日キャンセルについては、お1人様○○円を請求させていただきます。 ■ご予約日の遅れについて ■免責事項 |
■キャンセルポリシー■ この度は○○サロンへのご予約ありがとうございます。 ■予約の取り消し・変更について TEL:000-0000-0000 ■キャンセル料金 前日までのキャンセル:ご予約コースの50% キャンセル料の請求は、顧問弁護士○○より行わせていただきます。 ■ご予約日の遅れについて ■無断キャンセルをされた後の利用について ■免責事項 |
■キャンセルポリシー■ この度はホテル○○へのご予約ありがとうございます。 ■予約の取り消し・変更について TEL:000-0000-0000 ■キャンセル料金 8日前まで:無料 キャンセル料の請求は、顧問弁護士○○より行わせていただきます。 ■免責事項 |
ホテルに繰り返し無断キャンセルを行う場合、営業妨害を目的にするなど故意に行っている場合があるため、制限の記載をしておりません。
もし、故意に行っている場合、警察へ被害届を提出することで、相手へ刑事責任を追求できる可能性があります。
キャンセルポリシーの作成は、無断キャンセルの減少に一定の効果があります。
しかし、支払いへの強制力がないため、実際に無断キャンセルが発生してしまった場合には、泣き寝入りということもあります。
そのため、キャンセル対策としては不十分です。より確実にキャンセル料を回収するためには事前決済の導入や、事前にカード情報を提供してもらうような仕組みづくりが必要になります。
ただ、店舗の規模が小さいと、新しく制度を導入するのにもコストがかかってしまうため、なかなか手が出せないのではないでしょうか。コストをできる限り下げて、事前決済システムを導入したいなら、ネット上で完結する自動決済ツールの「プリチェックス」がおすすめです。
事前にお金を確保できるので、当日無断キャンセルされて連絡が取れない場合でも、キャンセル料の全額回収が可能です。
費用は決済金額の10%だけなのに、無断キャンセル発生から24時間後にはお金が回収できたり、自動でリマインドメールを送ってくれたりと来店サポートまで対応してくれます。
申し込みから最短7営業日で利用を開始できるため、ピークシーズン直前でも迅速に導入することが可能です。
公式サイト:https://fzxyjd.com/
無断キャンセルが社会問題となっている中で、キャンセルポリシーなどの対策は必須です。難しく書く必要はなく、キャンセル料の上限さえ守っていれば他の部分は自由になるので、お店の雰囲気に合わせて作ってもいいかもしれません。
また、キャンセルポリシーは万能ではないため、対応できない部分については、他のツールを上手に利用していく必要があります。
この記事を書いた人
プリチェックス編集部
キャンセルによる売上ロスをお支払いする「PRECHEX(プリチェックス)」を運営しています。予約を必要とするすべてのサービス運営者様に役立つコンテンツを発信しています。
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